自分が楽しむ

依存症の臨床では、IP(患者とみなされるもの)のことよりも、まず自分が楽しむことが大切です、と聞くことがあります。依存症の状態となっている本人に振り回されるのではなく、ご家族などの自分の時間を大切にということですね。

自分の時間をということですが、それまで依存症の方本人のことばかり気にしていた家族にとって、自分の時間を持つことはなかなか大変なことです。

そこで、音楽を聴きましょう、絵を描いたら、散歩は?と提案するのですが、あまりピンとこない方が多いようです。いままでほとんどやったことのない行動をとりなさいと言われても、できないと思うのは当然のことです。

身体を動かしたことがない人が急に運動することや、歌が好きでない人がカラオケに行くのは、あまりお勧めできません。その人がとてもやりたいことであれば別ですが…。しかし、やりたい人は言われる前にやっているでしょう。

自分の時間を持つためには、その方の今までの流れ(物語)を大切にすることが求められます。その物語の中に、その方の使える何かが隠されています。使える何かは、カウンセリングではリソースといわれますが、その人の強みでもあります。

依存症の方を中心に生活していたといっても、そのことだけをしていたわけではありません。その人の日常生活で使える何かがあるはずです。その何かに気づき、その行動を広げることの方が現実的です。

ソーシャルワークにおけるアセスメントでは、どうしてもその人のできない部分、否定的な部分に目が向いてしまいます。しかし、リソースを探すことによって、解決に近づくことが多いように感じています。

自分の時間を持つことに対して、何か趣味をみつけるようなアプローチではなく、物語を基本としてアドバイスできると良いと思っています。

4月 8, 2013

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